「キャットフードの給与目安表って、やたら量が多くない?」
「パッケージに書いてある量をそのまま与えたら、愛猫が太ってしまった…」
「とにかく、うちの子にとって最適なフードの量が知りたい!」
フードに記載されている給餌量の目安はアバウトな数値であり、多めに設定されているものがほとんど。
愛猫の体重をしっかり管理するためには、愛猫にとって適切な給餌量を把握しておくことが何よりも大切です。
今回は、動物看護師の筆者も使っている「キャットフードの給餌量を正しく求める計算式」をご紹介します。
数字が多いので難しそうに感じるかもしれませんが、計算式自体はかなり簡単なので安心してくださいね。
愛猫の体調管理のためにも、ぜひ気軽な気持ちで取り組んでみてください。
ざっくり押さえる!基本的な給餌量の計算式
以下の流れで計算することで、愛猫に必要な給餌量を求めることができます。
- 30×愛猫の体重(kg)+70=RER
- RER×愛猫のライフステージの数値=DER
- DER÷フードのカロリー(100gあたり)×100g
3で導き出された数値が、あなたの愛猫に与えるべきキャットフードの量ということです。
これだけだと「え?RER?DER?なにそれ?」という感じだと思いますが、大丈夫。後ほどちゃんと説明します。
詳細は「給餌量を割り出す基本的な3ステップ」で紹介しているので、安心してくださいね。
まずはキャットフードの給与量について、基本的な考え方から理解していきましょう。
気をつけて!パッケージに書いてある「給与量」そのままで使えない理由
実は…フードのパッケージに書いてある給与量は、愛猫にとって必ずしも最適な量ではありません。
なぜなら、ここに記載されている給与量は目安であり、あくまで今の体重をキープするためのものだから。
もし愛猫の体重が理想体重から外れていた場合、目安表を参考にすることで1日あたりの給与量が変わってしまいます。
同じ個体であれば必要エネルギーは同じはずなのに、これでは太ることも、痩せることもできないでしょう。
そして大抵の場合、肥満傾向にある猫はフードの量を変えてなくてもどんどん太ってくるんですよね…。
とはいえ猫の理想的な体重というのは、骨格や猫種によって違います。
「●kgくらいかな?」となんとなく決めてしまうと、愛猫にとって不適切な量のフードを与えることになります。
フードのパッケージに記載してある給与量は「理想的な体型にある時」のものなので、注意しましょう。
計算式だけで確実な給餌量を導き出すことはできません
元も子もない話になってしまいますが、計算だけで100%確実な給餌量を導き出すことは不可能です。
同じ体重の猫であっても、生活環境や運動量、年齢や生まれ持った体質によって最適な給餌量は異なるもの。
どんなに細かく給餌量の計算をしたとしてもバラつきはありますし、あくまで目安でしかありません。
また、給餌量を求める計算式にも様々な種類があり、どれを使うかによって数値は変わります。
そもそも、1日の必要摂取カロリーはフードの消化吸収率によっても違うので、完璧な計算はできないのです。
今回の計算結果を目安にして3~5gずつ調整して最適量を見つけよう
とはいえ、今回ご紹介する方法を使って計算すれば、愛猫に合った給餌量の目安を知ることは可能です。
この計算で出た給餌量を与えてみたうえで、その後に愛猫の体型がどう変化するかをチェックしましょう。
愛猫の様子に合わせて、3~5gずつフードの量を調整していき、本当に最適なフードの量を探していくのがベスト。
愛猫の理想体重をキープするためには、飼い主さん自身が愛猫をよく観察することが大切なんですね。
覚えておこう!給餌量を割り出す基本的な3ステップ
では、実際に愛猫の給餌量を計算式で割り出してみましょう。
3ステップとも特にややこしい計算はないので、難しく考えないで大丈夫です。
確認・用意するもの
給餌量の計算で用意・確認しておきたいものは、以下の3つです。
- キャットフードのエネルギー量(カロリー)/100g
- 愛猫のライフステージ(※STEP2.に表を載せてあります)
- √付きの電卓(あれば。なければ無しでOK)
STEP1.安静時に必要なカロリーを計算する
できるだけ正確な給餌量を割り出すためには、まず「安静時エネルギー要求量」を求めます。
安静時エネルギー要求量(RER)とは、その名の通り猫が安静にしている状態で必要なエネルギー量のこと。
愛猫が太らず、かつ痩せないようにするための基準が、この安静時エネルギー要求量の数値なのです。
安静時エネルギー要求量の定義は、以下の通り。
まぁ、ようするにお腹が満たされた状態でぼーっとしたり、ごろんと寝転んだ状態のことですね。
安静時エネルギー要求量の求め方は色々とありますが、ここでは代表的な2つの計算方法を紹介します。
簡単に安静時エネルギー要求量(RER)を求める場合
- 30×愛猫の体重(kg)+70(3kgの猫の例:30×3+70=160kcal)
√付きの電卓で安静時エネルギー要求量(RER)を求める場合
- 愛猫の体重を3回かける(3kgの猫の例:3×3×3=27)
- 数値が出たら√を2回押す(例:27√√=2.279)
- その数に70をかける(例:2.279×70=159.5≒160kcal)
愛猫の体重によっては導き出される数値が微妙に違うので、より正確に知りたいなら電卓で。
電卓に√(ルート)が付いてなかった…!という人のために、大まかな計算表も載せておきますね。
猫のRER(安静時エネルギー要求量)※電卓使用 | |||
---|---|---|---|
kg | kcal | kg | kcal |
1.0 | 70 | 5.0 | 234 |
1.5 | 95 | 5.5 | 251 |
2.0 | 118 | 6.0 | 268 |
2.5 | 139 | 6.5 | 285 |
3.0 | 160 | 7.0 | 301 |
3.5 | 179 | 7.5 | 317 |
4.0 | 198 | 8.0 | 333 |
4.5 | 216 | 8.5 | 348 |
STEP2.ライフステージごとに数値をかける
安静時エネルギー要求量が分かったら、今度はライフステージごとの数値をかけていきます。
愛猫にとって最適なカロリー量をはかるために重要なステップなので、忘れないようにしましょう。
ここでどのライフステージをを選ぶかによって、最終的な給餌量はかなり変わってきますよ。
当てはまるライフステージの数値をかける
- RER×愛猫のライフステージの数値=正確なエネルギー要求量
ライフステージ | 数値 |
---|---|
1歳未満の成長期の子猫 | 2.5 |
1歳以上で未去勢未避妊の猫 | 1.4 |
1歳以上で去勢・避妊済みの猫 | 1.2 |
妊娠中の猫 | 1.6~2.0 |
母乳を与えている猫 | 2.0~6.0 |
活動的な猫 | 1.6 |
肥満ぎみの猫 | 1.0 |
ダイエット中の猫 | 0.8 |
増量中の猫 | 1.2~1.4 |
高齢(シニア猫) | 1.1~1.4 |
集中治療・闘病中の猫 | 1.0 |
STEP3.与えているキャットフードごとに必要な量を計算する
それでは最後に、手持ちのキャットフードでは1日何g与えるべきなのかを計算します。
キャットフードはそれぞれエネルギー量(カロリー)が違うので、1日あたりの給餌量も変わってきます。
あらかじめ調べておいたフードのエネルギー量を使って、より正確な給餌量を求めてみましょう。
STEP2.で出したエネルギー要求量をフードのカロリーで割り、それに100をかける
- 正確なエネルギー要求量(kcal)÷フードのカロリー(kcal)×100g=愛猫の1日あたりの給餌量
ちなみに、÷と×が一緒の式に入っている場合は、左にあるほうから先に計算します。
どこから計算するかによって全然違った数値が出てしまうので、計算する際は注意しましょう。
給餌量が少なく済む「高カロリーフード」のデメリットは3つ
「高カロリーのフードだったら、給餌量が少なく済むかもしれない…」
そんな風に思ったことはありませんか?
少量でも栄養がとれる高カロリーフードですが、その反面いくつかのデメリットも存在します。
キャットフードのカロリーは商品によって様々ですが、350~370kcal程度に設定されたものが一般的です。
つまり、カロリーが400kcal以上のキャットフードは、高カロリーフードといってよいでしょう。
では、いったい高カロリーフードにはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
結論として私が考える高カロリーフードのデメリットは、以下の3つです。
肥満になりやすい
カロリーが高いということは、イコール太りやすいということでもあります。
成長期の子猫や小食の猫が食べるぶんには問題ありませんが、食いしんぼうの猫ちゃんは要注意。
成猫期は必要エネルギー量がぐっと下がるので、欲しがるだけ与えていると肥満になります。
ヘルシーなフードや療法食に切り替えにくい
日常的に高カロリーフードを与えていると、他のフードへの切り替えに苦労する可能性があります。
というのも、高カロリーフードの多くは肉や魚などが豊富に使用されており、嗜好性が高い傾向があるのです。
特に療法食はあっさりした味付けのものが多いので、グルメな猫ちゃんは食べてくれないことも多いです。
肉・魚の含有量が多いぶん、タンパク質も高め
高カロリーなキャットフードは肉や魚などの割合が多いので、タンパク質量も高くなりがち。
タンパク質は肉食である猫にとって欠かせない成分ですが、過剰に摂取すると腎臓に負担がかかります。
タンパク質の多い食品はリンの値も高いので、腎臓病の猫やシニア期の猫には向いていません。
成猫期はできるだけ色々なフードを食べさせよう
子供もそうですが、普段から美味しいものばかり食べていると、食の好き嫌いが激しくなってしまうもの。
いざという時にフードの切り替えがスムーズにできるよう、成猫以降は色々なフードをローテーションしましょう。
あまり頻繁に変えてしまうと猫がストレスを感じるので、2・3ヵ月に1回程度を目安にしてくださいね。
「今のフードが合ってないかも…」と感じたら?ライフステージ別おすすめフード
愛猫にとって最適な給餌量は、ここまでの計算式でひと通り把握できたと思います。
どうでしょうか、これまで毎日与えていたフードの量と大きな違いはありませんでしたか?
もし明らかに与え過ぎていたり、逆に少なすぎていた場合は、改めてフードの量を見直してみましょう。
大抵の飼い主さんは与えすぎていることが多いので、適切なフード量にするだけで愛猫が理想体重に近づきますよ。
また、愛猫の健康を維持するためには、ライフステージや状態に合ったキャットフードを選ぶことも大切です。
猫が必要とする栄養素の量は年齢や状態によって変化するので、愛猫の日々の様子をしっかりと観察しておきましょう。
ここからは、ライフステージや状態別におすすめのキャットフードをそれぞれ1つずつご紹介します。
- 育ち盛りの子猫には:ジャガー
- 成長期が終わった成猫には:ロニーキャットフード
- 太り気味・肥満傾向にある成猫には:モグニャン
- 減量中の成猫には:モグニャン
- 妊娠・授乳期の成猫には:ジャガー
- シニア期には:ナウフレッシュ【グレインフリー シニアキャット&ウェイトマネジメント】
育ち盛りの子猫にはジャガーがおすすめ
育ち盛りの子猫には、高カロリーで栄養満点なジャガーがおすすめ。
ジャガーには新鮮なチキンをはじめ、野菜やフルーツなどがたくさん配合されています。
他のフードにはない食材が豊富に使用されており、様々な健康効果が期待できます。
成長期が終わった成猫にはロニーキャットフードがおすすめ
成長期が終わった成猫には、ロニーキャットフードがおすすめです。
ロニーキャットフードは栄養バランスがとても良く、ミネラルや脂肪酸の割合も最適です。
かなり嗜好性が高いので、味にこだわりのある猫ちゃんも食べやすいですよ。
ロニーキャットフードについては以下の記事で詳しくレビューしています!
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太り気味・肥満傾向にある成猫にはモグニャンがおすすめ
ちょっとぽっちゃり…という猫ちゃんには、モグニャンがおすすめ。
ヘルシーな白身魚を主原料に使っており、脂質は16%と比較的控えめな値です。
粒は直径5mmと極小サイズなので、小粒フードが好きな猫ちゃんにもどうぞ。
モグニャンについては以下の記事で詳しくレビューしています!
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減量中の成猫にはモグニャンがおすすめ
ダイエット中の成猫には、ヘルシーで低脂質なモグニャンがおすすめ。
かつおぶしのような魚の香ばしい香りが、愛猫の食欲をそそってくれます。
香りが良いぶん嗜好性も高いので、与え過ぎには注意しましょう。
妊娠・授乳期にはジャガーがおすすめ
血圧や血糖値が上がりやすい妊娠・授乳期には、ジャガーがおすすめ。
ジャガーはでんぷんの含有量が抑えられており、食後の急激な血糖値上昇を防ぐことができます。
もちろん有害な添加物は使われていないので、子猫に悪影響が出ることもありません。
シニア(高齢猫)期にはナウフレッシュ【グレインフリー シニアキャット&ウェイトマネジメント】がおすすめ
代謝機能の衰えたシニア期には、ナウフレッシュ【シニアキャット&ウェイトマネジメント】がおすすめ。
腸内環境を整えるプロバイオティクス配合なので、便秘など胃腸トラブルを起こしやすいシニア期に最適です。
抗酸化作用の高い食材が豊富に使用されており、毛艶改善や老化防止にも役立ちます。
重要なポイントまとめ
- まずは「30×愛猫の体重+70」で安静時エネルギー要求量(RER)を求める
- 次に「RER×愛猫のライフステージの数値」でエネルギー要求量(DER)を求める
- 「DER÷フードのカロリー(100gあたり)×100g」で、給餌量がわかる
- パッケージに書いてあるフードの給与量は「猫が理想的な体重にある時」のもの
- 目安表はあくまで参考程度にすること。正しい給餌量は自分で計算しよう
- 給餌量が少なく済む高カロリーフードにはデメリットも存在するので注意して
- 猫の好き嫌いが増えないためにも、子猫期には色々なフードを食べさせておこう
- キャットフードは必ずライフステージに合ったものを選ぶようにすること