ここ最近、「無添加」や「添加物フリー」というようなキャッチコピーのフードが増えてきましたね。
ネットなどでも「食品添加物は危ない、猫にとって有害だ」といった内容のものが、たくさん掲載されています。
確かに添加物というと怖いイメージがありますし、できれば摂取しないほうがよさそうですよね。
ですが、無添加と記載してあるキャットフードなら、すべて良質なフードなのでしょうか?
また、添加物の入っているフードを与えるのは、愛猫の健康にとって絶対に良くないことなのでしょうか?
結論からいえば、無添加フードのなかでも良質なものと、そうでないものは存在します。
良質な無添加キャットフードのうち、動物看護師である筆者が特におすすめできるのは
- ロニーキャットフード
- ファインペッツ
- カナガン
- モグニャン
- オリジン
の5つのフードです。
詳しい内容は後半の「編集部が徹底分析!無添加キャットフードのおすすめ5選」に載せているので、ぜひキャットフード選びの参考にしてくださいね。
添加物に関する正しい知識を身につけて、愛猫との生活をより楽しく、安心して送れるようにしましょう!
無添加フードとは「特定の添加物を加えていないフード」のこと
そもそも無添加とは、「特定の物質が入っていないこと」を意味しています。
つまり、無添加キャットフードは「一部の危険な添加物が使用されていないフード」というわけですね。
無添加と書いてあれば安全と思っている方も多いのですが、実際には自然のものだけで作られているわけではありません。
詳しくは後ほど説明しますが、添加物は分類や種類によって安全性が違ってくるので注意が必要です。
よく間違われる「無添加」と「オーガニック」の違いって?
無添加とよく間違われやすい「オーガニック」ですが、添加物の有無をはじめ様々な部分に違いがあります。
簡単に説明すると、無添加は出来上がったものに加工していないもの、オーガニックは生産過程から加工していないもののことをいいます。
ちょっとややこしいですが、無添加の意味を理解するためには必要なことなので、しっかり覚えておいてくださいね。
このように、無添加とオーガニックは似ても似つかない言葉であり、混同して考えてはいけないものです。
2つを比べるとオーガニックのほうが良いように思えますが、当然オーガニックのキャットフードは価格が高め。
生産や流通にかかるコストが高いので、そのぶんキャットフードの価格も上がってしまうのです。
キャットフードは愛猫が毎日食べるごはんですから、安全で、かつ続けやすい価格のものを選ぶのがベストです。
もし余裕があればオーガニックフードを試してみるのも良いですが、家計を圧迫するようであれば選ぶべきではありません。
愛猫が病気になった時でも問題なく治療費が出せるように、キャットフードは無理のない価格のものを選びましょう。
添加物の入っているフードは絶対に良くないものなの?
「添加物入りのキャットフード」と聞いて、なんとなく悪い印象を持っている方も多いかもしれません。
確かに、添加物による健康被害は色々と問題になりますし、「粗悪なフード=添加物」のイメージもありますよね。
ですが実は、添加物と名前が付くものでも、猫にとって無害・あるいは健康維持に役立つようなものもあるんです。
添加物の正しい役割と効果をよく知って、愛猫にとって本当によいキャットフード選びに役立てましょう。
添加物にはいろいろな分類・種類が存在する
キャットフードに含まれる添加物というと、どうしても人工的に作られた化学物質を想像しますよね。
ですが、ひとくちに添加物といっても種類はたくさんあるので、添加物なら全部が有害というわけではないんですよ!
文字だけではよくわからないと思うので、添加物の分類と主な種類について1つの表にまとめてみました。
これをみると、添加物には様々な分類があることがよく分かると思います。
このうち一般的に「猫の健康に良くない」といわれているのは、「品質保持に関わる添加物」の合成添加物ですね。
添加物はフードの品質を保持するために欠かせないものですが、やはり人工的に作られた物質には不安があるもの。
ガンや肝機能障害など大きな病気になるリスクは0ではないので、日常的な摂取はおすすめできません。
なお、プレミアムフードと呼ばれる高品質なキャットフードのほとんどは、天然の添加物を使用しています。
合成添加物にくらべると効果は下がりますが、安全面・安心感では圧倒的に天然添加物のほうが高いですからね。
保存方法や賞味期限さえ管理できるのであれば、キャットフードは天然の添加物を使用しているものがベスト。
添加物は分類によって安全性が違うので、「添加物=体によくない!」と決めつけないようにしましょう。
添加物にはフードを長持ちさせたり、より美味しくする役目がある
合成・天然、どちらの添加物にも共通するメリットといえば、ずばり「保存性の向上」です。
添加物にはフードの酸化を防いだり、風味を良くすることで猫の食いつきを高めるという、重要な役目があります。
酸化した脂肪は過酸化脂質という老化を早める物質になるため、フードの酸化はできるだけ防がなければいけません。
脂肪分を多く含むキャットフードはただでさえ酸化しやすいので、フードの劣化を抑えるには酸化防止剤が不可欠。
悪いイメージを持たれがちな添加物ですが、なかには大切な愛猫の健康を維持するために必要なものもあるんですよ。
食品添加物にはそれぞれ役割や効果があるので、やみくもに怖がらないようにしてくださいね。
添加物が一切入っていないフードにも、それなりのリスクはある
なお、添加物不使用のフードの場合でも、保存状態によっては愛猫が体調を崩してしまう可能性があります。
添加物が入っていないぶん安全性は高いはずなのに、どうしてそんなトラブルが起こってしまうのでしょうか?
添加物を含まないキャットフードというのは、酸化防止剤や保存料なども一切使用していないということです。
つまり、「添加物を含むキャットフードに比べると、圧倒的に劣化するのが早い」というわけですね。
特に缶詰などのウェットフードは細菌繁殖のスピードが早いので、遅くとも次の日には食べきらなければいけません。
冷蔵庫に入れるのは当然で、できるだけ空気に触れないようにラップやジップロックに入れる必要もあります。
風味が落ちるのが早く、猫の食いつきも悪くなりやすい
また、保存料が入っていないぶん保存期間が短く、フードの風味も落ちやすいというデメリットもあります。
天然の添加物すら含まれていないのであれば、梅雨時は開封後1週間も経たないうちにカビが生えてしまう可能性も。
劣化したキャットフードは嘔吐や下痢の原因になりますし、重症化すると内臓機能の障害を引き起こしかねません。
つまり、まったく添加物を含まないキャットフードの扱いは、かなりの注意が必要ということなんですね。
とはいえ、着色料や香料、酸化防止剤などの合成添加物は、本来であれば愛猫に摂取させる必要のない物質です。
自然界に存在しない物質を摂取し続けていれば、いつ・どんなトラブルが起こったとしても不思議ではありません。
愛猫がいつまでも健康で元気に過ごせるよう、添加物には天然のものが使用されているフードを選びましょう。
グルテンフリー・グレインフリーのフードは選ぶべき?
愛猫が穀物にアレルギーを持っていない場合は、グルテンフリー・グレインフリーフードを選ぶ必要はありません。
なぜなら穀物には老化を抑える抗酸化成分が豊富に含まれていますし、きちんと加熱されていれば安全性も高いからです。
穀物が使用されているからといって必ずしも悪いフードというわけではないので、それは覚えておきましょう。
穀物は腎臓病の猫にとって貴重なタンパク源になる
コーングルテンなどの穀物は良質なタンパク質が豊富で、かつリンの含有量が少ないという特徴があります。
ミネラルの1つであるリンは代謝の過程で老廃物を産生するのですが、老廃物の排出機能が衰えた猫には大きな負担が…。
リンは肉類に多く含まれているので、今までと同じキャットフードを与えていると腎臓病が悪化してしまいます。
実際、腎臓の療法食には穀物が多く使われており、リンを制限しなければいけない猫にとって優れた栄養素になるのです。
なお、きちんと処理された穀物は消化性に優れており、穀物の消化が苦手な猫にも負担がかかりません。
穀物が入っていても良質なキャットフードはいくつもあるので、フード選びの候補から外さないでくださいね。
アレルギー体質の猫は、念のためグルテンフリー・グレインフリーを選んでも良い
きちんと処理された穀物は優れた栄養素になりますが、アレルギー体質の猫ちゃんは念のため避けておくのも1つの手。
食物アレルギーはある日突然発症することがあるので、不安な場合はグレインフリーのフードを選ぶようにしましょう。
グレインフリーのフードは一般的に原材料にこだわって作られていますし、粗悪な添加物が使われている確率も低いといえます。
原材料や成分表の確認は必ず必要ですが、愛猫の健康を害するほど悪いグレインフリーフードはほとんどありませんね。
ちなみに…あまり知られていませんが、穀物にアレルギーを持つ猫の割合はそれほど多くありません。
出典元:ロイヤルカナン「ペットフードに穀物(グレイン)は必要? 疑問解決編」
このグラフを見てもわかる通り、小麦などの穀物よりも肉や魚などにアレルギーを持つ猫のほうが多いのですね。
とはいえ、こうした結果はあくまで統計的なものなので、必ずしも愛猫が穀物に反応しないというわけではありません。
もし愛猫が他の食材にアレルギーがあるような場合には、念のためグレインフリーフードを選んでおくのが無難です。
キャットフードの人工添加物一覧と知っておくべき注意点
上でもご紹介しましたが、キャットフードに含まれる添加物にはいくつかの分類があります。
ここでは、そんな添加物の分類のうち「品質保持に関わる添加物」の主な種類と名称、危険性について説明します。
人工添加物だけをピックアップしたので、ぜひ手持ちのフードの成分表と照らし合わせてみてください。
種類 | 主な人工添加物名 | 主な危険性 |
---|---|---|
酸化防止剤 | BHA、BHT、エトキシキン、 アスコルビン酸、没食子酸プロピルなど |
発がん性、腫瘍、 肝機能障害、免疫低下 |
防腐剤・保存料 | ソルビン酸カリウム、安息香酸、 ナタマイシン、パラペンなど |
発がん性、染色体異常 |
発色剤・着色料 | タール色素(赤色2号、黄色4号、青色1号など) 硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムなど |
発がん性、染色体異常 |
香料 | グリシリジンアンモニエート、合成香料など | 発がん性、染色体異常 |
増粘剤 | アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウムなど | 発がん性 |
乳化剤 | グリセリン脂肪酸エステルなど | 腫瘍、下痢、アレルギー |
酸化防止剤
キャットフードの酸化を防ぎ、味や香りが落ちるのを防止する添加物です。
酸化とは「食べ物に含まれるタンパク質や脂質などが空気中の酸素と結合し、品質が悪くなる」こと。
猫は人間の6倍以上のタンパク質を必要とするので、酸化スピードもそのぶん早いといえます。
防腐剤・保存料
カビや細菌の発生を防いだり、フードに含まれる微生物の増殖を抑制する添加物です。
微生物や細菌は水分が多い食品に多く発生するので、ドライフードに使われることはあまりありません。
キャットフードでは、主に缶詰やパウチなどのウェットフードに含まれていることが多いでしょう。
着色料・発色剤
フードに色を付けることで、もとの状態よりも美味しそうな見た目に調整する添加物です。
キャットフードの原料は時期や製造過程において色合いが変わるので、見た目を安定させるために使用されます。
使われる色素はすべて食品添加物として許可されているもので、色によって様々な種類があります。
香料
キャットフードに香りをつけて、猫の食いつきを良くする添加物です。
香料には合成香料と天然香料の2種類がありますが、どちらも表記では「香料」とだけ記載されています。
そのため、キャットフードのパッケージを見る限りでは、どちらの香料が使われているのかを知ることはできません。
増粘剤
粘り気やなめらかな食感を出すための添加物で、主にウェットフードに使用されています。
なお、液体をゼリー状に固めることができるので、油脂と水分の分離を抑える効果もあります。
乳化剤
液体と固体をうまく混ぜ合わせるために必要な添加物で、主にウェットフードに使用されます。
物質の性質を変える作用があるので、水と油のように通常では混ざりにくい物質でも均一に混ぜることができます。
香料と同じく、食品添加物として許可されているものであれば、種類すべてを表示する必要はありません。
編集部が徹底分析!無添加キャットフードのおすすめ5選
お待たせしました、ここからは「おすすめの無添加キャットフード」を5つご紹介します!
ピックアップしたのは、危険な合成添加物が使われていないフードのうち、栄養バランスや猫の嗜好性が特に高いもの。
ファインペッツ以外はグレインフリーなので、穀物にアレルギーのある猫ちゃんにも安心して与えられますよ。
編集部の評価が高いキャットフードから順番に紹介していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1位:ロニーキャットフード
ロニーキャットフードは、原料・栄養バランス・食いつき、どれをとってもトップクラスのフードです。
2018年7月に発売されたばかりとあって、従来のフードで不十分だったミネラルや脂肪酸の比率もバッチリ!
天然の防腐剤であるハーブをいくつも配合しているので、開封後しばらく経っても風味が落ちづらいですよ。
猫が自然界で口にする可能性のある食材だけを使用している点も、評価が高いポイントです。
筆者イチオシのロニーキャットフードについて詳しく解説した記事はこちらです。
-
【猫好きに朗報】栄養バランスが高水準!ロニーキャットフードを徹底的に試してわかった真の評価
ロニーキャットフードは、2018年7月に発売された新しいキャットフードです。 従来のキャットフードに足りなかった部分が見 ...
こんな猫ちゃんにおすすめ
- 子猫期~成長期が終わった成猫
- フード開封後、しばらくすると食いつきが悪くなる猫ちゃん
- いまいちフードの食べが悪い猫ちゃん
- 小麦など、穀物にアレルギーのある猫ちゃん
2位:ファインペッツ
ファインペッツは「ペットの長生き」をコンセプトに掲げる、日本のペットフード会社が開発したフードです。
メイン食材にはアレルギー性の低いアヒルとニシンを使用しており、猫の消化吸収率は87%と超高率!
少量でも十分な栄養が摂取できるので、たくさんのエネルギー量が必要な子猫や食の細い猫ちゃんにぴったりです。
中国製や残留農薬の可能性がある食材もいっさい使用されていないので、安心して与えることができますね。
こんな猫ちゃんにおすすめ
- 子猫期~成長期が終わった成猫
- お腹の調子を崩しやすい猫ちゃん
- 小食で痩せ気味の猫ちゃん
- 穀物にアレルギーがない猫ちゃん
3位:カナガン
カナガンはイギリスで開発されたキャットフードで、タンパク質と脂質の割合が多いという特徴があります。
メイン食材であるチキンはストレスのない環境で飼育されたもので、抗生物質やホルモン剤などはいっさい不使用。
ビタミンやミネラルはすべてペット用に生産されたものを使用しているので、栄養添加物の品質も安心ですね。
なお、猫の食いつきをよくする目的には、鶏の自然な香りがぎゅっと詰まったチキングレイビーを使っています。
カナガンについては、下記の関連記事で詳しくレビューしています。
-
100点満点中94点!カナガンキャットフードを徹底的に試して分かった本当の評価を公開!
カナガンは、今やプレミアムキャットフードの定番ともいえるキャットフードです。 安全性が優れていることはもちろん嗜好性も高 ...
こんな猫ちゃんにおすすめ
- 子猫期~成長期が終わった成猫
- 魚より肉が好みの猫ちゃん
- 活発で運動量の多い猫ちゃん
- 穀物にアレルギーのある猫ちゃん
4位:モグニャン
モグニャンはヘルシーな白身魚を使用した、アレルギー性の低いキャットフードです。
カナガンの販売会社が日本の猫ちゃん向けに開発したフードということもあり、安全性は問題ありません。
フードの劣化防止に役立つハーブやビタミン豊富な果物を配合するなど、栄養バランスもしっかり考えられています。
プレミアムキャットフードには珍しくタンパク質・脂質が控えめなので、高齢猫ちゃんにもおすすめです。
モグニャンについては、下記の関連記事で詳しくレビューしています。
-
本当に良いフードなの?モグニャンを5つの評価基準で徹底的に試して分かった真実!
モグニャンは、プレミアムキャットフードのなかでも広く知られているキャットフードです。 「猫が本当に喜ぶキャットフード」を ...
こんな猫ちゃんにおすすめ
- 成長期が終わった成猫~シニア猫
- 肉よりも魚が好みの猫ちゃん
- ぽっちゃりして太り気味の猫ちゃん
- 穀物にアレルギーのある猫ちゃん
5位:オリジン
フード業界で圧倒的な知名度を誇るオリジンは、野生で暮らす猫の食事にかなり近いキャットフードです。
獲物をまるごと食べる猫の食性に合わせて、臓器や軟骨など食材の一部を取り除くことなく配合しているのです。
栄養添加物であるミネラルやビタミンが添加されていないのは、それだけフードの栄養価が高いということ。
自社キッチンのみで製造を行うなど、フード作りへの熱い姿勢が多くの飼い主さんに評価されています。
こんな猫ちゃんにおすすめ
- 成長期の子猫~成猫
- 活発で運動量の多い猫ちゃん
- 腎臓や肝臓に疾患のない猫ちゃん
- 小食で痩せ気味の猫ちゃん
- 穀物にアレルギーのある猫ちゃん
重要なポイントまとめ
- 無添加フードとは「特定の添加物を加えていないフード」のこと
- 「添加物入りのキャットフード=危険」ではない
- フードを安全に保存するために欠かせない添加物もある
- 添加物で風味をよくすることで、猫の嗜好性を上げる効果も
- 一般に合成添加物よりも天然添加物のほうが安全性は高い
- アレルギー体質の猫はグレインフリーフードを選んだほうがベター
おすすめの無添加キャットフード
- ロニーキャットフード
- ファインペッツ
- カナガン
- モグニャン
- オリジン